在宅医療と介護にも注力し、
超高齢化社会を支える。
──────── 理事長 杉 東明
杉病院は2019年に開設100周年の節目を迎えた、今の気持ちを教えて下さい。
杉家は江戸時代から代々続く医師の家系です。1790年(寛政2年)に日本で初めて天然痘ウイルスの予防接種に成功した秋月藩の藩医・緒方春朔も先祖の一人であると聞いています。
さて、私の祖父の代から二日市の地に移り住み、杉病院としてここ二日市中央の当地に開設したのは1919年(大正8年)のことでした。その後月日は流れ、祖父、父、私の代を経て、現在、私の息子の代に至っております。「当院が100年間もの長きにわたり、この地域の家庭医としての務めを継続してこられたことは大変幸せなことだ」というのが率直な気持ちです。
受け継がれてきた伝統などはありますか?
伝統と呼べるような特別なものはありません。代々続く医師の家系という環境から自分も父の背中を見て育ち、その背中を追いかけ、自然と父のやり方を踏襲し今日につなげてきたというのが正直なところです。
例えば、父はよく往診をしていましたが、急病の患者様への対応だけではなく、時々、患者様の顔を見たり、話を聞いたり、健康相談を行ったりという、今の時代の訪問診療のようなこともしていました。現在、当院が訪問診療に力を入れているのも、先代からの流れであると思っています。また、父は日頃から患者様に対しては、「良く噛んで食べるように」、「昼食を食べたら、短時間でも横になって一休みした方がいい」、ぜんそくの患者さんには「乾布摩擦をして肌を鍛えるように」などと薬を出すだけでなく、日常生活や生活習慣の細かいアドバイスを良くしていました。このような考え方は今の時代になっても、家庭医の大事な心がけといえるでしょう。
そしてもう一つ、父はそれぞれの患者様のご家庭の細かいところまでよく知っていました。患者さんの身体を見るだけでなく、その病気に関連する様々な背景を考えながら診療をしていたのです。暮らしの状況、ご家族の状況といったそれぞれのバックグラウンドも、健康に大きな影響を及ぼすことがあります。ですから私自身も、患者様の生活背景や置かれた環境を理解するために、患者様やご家族の話を聞くことをとても大切にしています。
先生自身が生活習慣で気をつけていることを教えてください
もともと野菜嫌いだったのですが、今ではなるべく多くの野菜を食べるよう心掛けています。また、体重計に乗ることは今の自分の健康状態を知る意味でとても大切ですので、毎日必ず体重計に乗り体重管理に努めています。最近、標準体重よりも少しオーバー気味になっているので、気を引き締めているところです。
あとは定期的に運動をすることが大事。そこで、週に一度テニスクラブに通い汗を流しています。インドアコートなので雨が降っても安心です。(笑)
今後の抱負をお聞かせください。
世界に類を見ない超高齢化の進展に伴い、在宅医療と介護の拡充が今後の日本社会に必須であると考えています。当院では、外来診療に加え、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリテーションといった在宅医療、通所リハビリテーション居宅介護支援事業を積極的に行っています。
また、療養病棟・地域包括ケア病棟といった入院設備も充実しています。このような当院独自の特徴をフルに活用し、そしてさらなる充実化を図り、この地域の方々の健康をサポートしていきたいと考えています。
最後にホームページをご覧の皆さまへのメッセージを。
重大な病気にかかってからではなく、病気にならないようにするために普段から気を付けることが大事です。定期的な健康診断や正しい生活習慣を実践し、危険因子を減らす努力を続けていきましょう。当院では、各種健康診断をはじめ、生活習慣病や循環器疾患を中心とした診療などを通じて患者様やご家族の皆様の健康を把握し、「かかりつけ医」として、より地域に密着した医療の提供に取り組んでまいります。